雪の上が登山道!?室堂から裏剱の仙人池へ
こんにちは!北アルプス富山県側登山道等維持連絡協議会事務局の一ノ枝です。(環境省立山管理官事務所)
前回登山道でも色々な道があるということに触れました。
今回は室堂から剱沢を通り裏剱とも呼ばれる仙人池までのルートについて紹介をしていきます。(2024年7月中旬巡視)
各方面の拠点となる室堂平
スタートは立山・剱岳周辺の拠点となる室堂平です。室堂平へはマイカー規制がされており富山県側からは立山駅からケーブルカーと高原バスを乗って室堂平まで行けます。室堂平周辺は中部山岳国立公園内でも有数の観光地になっており登山者や国内外の観光客で賑わっています。そのため、道としても登山道?というよりはしっかりと整備された石畳の道が続いており散策を楽しむことができます。
剣御前小舎を越えると剱岳がお目見え
雷鳥荘から雷鳥沢キャンプ場まで下り雷鳥沢の橋を渡るとここから本格的に登り返しです。
登山道の状況は一変します。地道の登山道が続き砂礫、岩の段差工の道を登っていきます。
別山乗越の尾根にたどり着くと天気が良ければ重鎮する剱岳がお出迎えしてくれます。この日はガスガスだったので、天気が良い日の写真を載せます。
剱澤小屋の分岐で剱沢雪渓、真砂沢ロッジ方面へと向かいます。
日本三大雪渓の剱沢は雪の上が登山道
剱澤小屋からしばらく下っていくと剱沢雪渓です。(※時期によって雪渓は変動します)
ここからは登山者の人影も少なくなっていき北アルプスの奥地へ来ていることを実感します。
国立公園では公園計画図というものが作られており、それをもとに登山道を計画に落としこみ登山道(一般道)を管理しています。
この剱沢雪渓ですが実は公園計画図上で雪の上を歩く前提になっています。大雪渓は夏も雪が多く残っており、雪渓の上を歩くというのが通年でした。夏山でも雪の道を歩ける場所なんて早々ありません。高山、豪雪地帯、地形など様々な環境が重なってできている貴重な場所になっています。
将来登山道が消えてしまう?地球温暖化を肌で感じる道
ここ最近の地球温暖化によりこの剱沢雪渓も大きく変化してきています。
背景としては、
- そもそも雪の降る量が少ない
- 残雪期の気温が高い
- 大雨による雪解けが急速に進む
など温暖化の影響をダイレクトに受けています。雪解けが進行すると雪渓に切れ目(クレバス)ができて、通行に注意が必要です。また迂回路を通らなければ行けません。日に日に雪の状態は変化するので情報を聞かれる山小屋のスタッフや山岳警備隊にも常に注意をはらうが必要があり負担がかかります。
標高が下がる真砂沢周辺は草との戦い
標高を下げながら剱沢を抜けた先に真砂沢ロッジ(標高1760m)があります。ここから二股までは剱沢の左岸を進む砂礫、土砂、時期によっては雪渓が一部ある登山道です。
標高が下がり、登山道脇の草たちもすくすく育ちます。そのため定期的な草刈りをしないと登山道が隠れてしまいます。
大雨時に流される橋
剱沢からハシゴ谷乗越、内蔵助平方面へ向かうには、剱沢を越えるために橋を渡る必要があります。この橋は近年大雨が降ると橋が流されてしまうという時があります。それだけまとまった雨が降ると川が増水してしまうということです。
ヘツリは要注意
二股へ向かう手前にヘツリの場所があります。ヘツリとは下が川で、岸壁をへばりつくように進む道のことを言います。
ここには、鎖、鉄筋、丸太などの工作物が設置されています。一部老朽化が進んでいる箇所も見受けられました。ここは慎重に進んでください。
仙人池からの剱岳は圧巻
二股吊橋を渡り、仙人新道の急登を登っていきます。
ここは地道で土砂の道が多い区間です。
ハシゴやロープがついている箇所もあります。通行する人数が限られるのもあるのか、一部は見られるものの、大きな土壌浸食は見受けられませんでした。
仙人峠の分岐を経てしばらくすると仙人池ヒュッテに到着です。すぐそばに仙人池があり、この日は幸運にも仙人池と剱岳を見ることができました。
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