北アルプス朝日岳。北又小屋~朝日岳までの登山道レポート
こんにちは!北アルプス富山県側登山道等維持連絡協議会事務局の一ノ枝です。
今回は中部山岳国立公園でも最北部に位置する朝日岳(北の又小屋~朝日岳)のルートについて紹介をしたいと思います。(2024年8月初旬調査)
※北又小屋までのアクセスは小川温泉から北又小屋の林道はタクシーのみです。マイカーの場合は小川温泉に駐車します。小川温泉から北又小屋までは徒歩3時間30分ほどかかります。
北又吊橋を渡りイブリ山を目指す
北又ダムを横目に見て吊橋を渡っていよいよ登山開始です。
北又小屋からイブリ山までは樹林帯で途中ブナ林の気持ちいいトレイルを登っていきます。
山を登る人からすると全然意識しませんが、北俣~イブリ山までの区間は県立自然公園であり、国立公園として指定されている区間はイブリ山より奥の高標高地帯からになります。
道は地道が中心で土砂、粘土質の道や岩場の道もあります。
所々土壌が浸食されているのが見受けられます。急傾斜な登り道ですが、道が直登ではない為、浸食の進行が小規模に抑えられており、林床部ですが標高もまだ低いのでササ類等の草刈りが中心で地元保全団体にて維持がなされています。
看板は雪の重みなどで曲がり経年劣化やクマにやられた形跡も目立ちます。
5合目では広場があり、ここでは少し歩いた箇所に水場もあります。
5合目を過ぎてイブリ山を目指します。途中登りやすいように整備がされていました。
イブリ山(1791m)に到着です。
イブリ山から朝日小屋までは草原地帯を進む。木道や鎖場もあり
イブリ山から先は木道が点在して設置されています。平成20年前後に整備されたものがこの区間は多く、比較的きれいな木道で著しい劣化のものは少なかったです。木道も歩きやすい為だけに設置されているわけではなく、周辺の植生保護や泥濘(ぬかるみ)対策等の目的をもって整備されています。
途中岩場で鎖場もありますので、慎重に進みます。こういった鎖も木道等を整備する為の国立公園事業として整備がなされたものになります。施設が破損していないか等を地域関係者を中心に点検する作業を毎年捻出し、草刈り等と合わせて実施頂いています。環境省職員で行う登山道巡視でも整備した施設が老朽化していないかといった視点も含めて公園内を管理しています。
夕日ケ原に到着しました。この場所はとても美しいトレイルの曲線を描いており天気が良ければ日本海も望める絶景スポットです。この周辺は、利用者数や地形、水の流れ方と様々なことが影響する前提ですが、高山植物が歩道脇ギリギリまで繁生している箇所が多く、踏まないようにと気をつけて歩かなければならない程、見事な状況でした。花の朝日と多くの利用者から親しまれる所以でもあるなと感じさせられた瞬間でした。
土砂崩壊の箇所がありました。現在は道が通れるように整備されています。
間もなく朝日小屋に到着とういう手前の丸太階段が土主流出をしてしまっており、時間もありましたので補修を行いました。一度整備したら土が綺麗に溜まらない場所も多く、こまめに修繕や補修により人が通る場所だからこそこまめに手を加えることの方が登山道維持においては重要です。
朝日小屋に到着してこの日は1泊です。この巡視の主目的である栂海新道のうち、公園内で整備した木道が浸食により崩落している箇所があると報告を受け、現地確認を行います。
朝日小屋から朝日岳へ。日本海と北アルプス、妙高戸隠連山の大パノラマ
翌日になり天気は快晴です。山頂まで気持ちよく進みます。朝方のまだ日が出る前の天気だと日中に見る山や海と違う暖かい色彩が全面に広がっており、登山でも楽しい瞬間の一つかなと思います。
山頂までは木道、丸太階段、土砂の地道が中心です。水の浸食が激しい箇所が見られました。
側溝部分の斜度が急になってしまうと植生が復元しにくくなり、土砂の流出がさらに加速していく状況になります。こういった箇所の土砂流出をいかに食い止め、植物がまた生える環境へ復元していけるかが求められます。浸食が進むと歩道脇にある植物が根っこから落ちてしまうような場所も複数見られ、より拡幅してしまう状態が写真からも分かると思います。
最後の木道を進むと朝日岳山頂に到着です。
この日は山頂からの日本海、剱・立山連峰、白馬岳方面、妙高戸隠連山国立公園など360度の大パノラマを望むことができました。
▲▲▲北アルプストレイルプログラムとは▲▲▲
中部山岳国立公園を訪れる登山者が安全に楽しむためには、登山道の維持が欠かせません。しかし、行政や山小屋を中心とする地域関係者だけで登山道等を維持し続けて行く仕組みは限界にきています。実際に登山道を利用する登山者にも協力いただき、登山道等の維持に「参加」できるのが北アルプストレイルプログラムです。私たちと一緒に登山道を未来に繋ぎませんか。
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