剱岳早月尾根の巡視 標高差2200mの北アルプス三大急登
こんにちは!北アルプス富山県側登山道等維持連絡協議会事務局の一ノ枝です。
今回は、剱岳の巡視について情報発信します!
北アルプス三大急登ってどこ?
突然ですがクイズです!
「北アルプス三大急登」と呼ばれている場所はどこでしょうか?
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ご存知の方はすごい!
北アルプス登山マイスターの称号を勝手に贈与させていただきます!
正解は、
「ブナ立尾根(烏帽子岳)」「合戦尾根(燕岳)」「早月尾根(剱岳)」の3つです。
今回は「岩と雪の殿堂」とも呼ばれる剱岳の早月尾根について紹介します。
今回登る早月尾根は北アルプス三大急登にも選ばれており、登山口のある馬場島(750m)から山頂までの2999mを一気に上がっていく道です。
馬場島の登山口から早月小屋までの登山道状況
「試練と憧れ」の石碑の横を通り、奥に進むと早月尾根の登山口になります。
今回シーズン中には北アルプストレイルプログラムの看板も設置しておりましたのでご覧になった方もいるかもしれません。
スタートからいきなりの急登です。なにせ北アルプス三大急登ですから。
階段工の道を登っていきます。
松尾平という場所で一旦なだらかな道になり、再度急登を上がっていきます。
水の流れによる洗堀が激しい場所も見受けられました。この早月尾根も浸食が進行している箇所が樹林帯を中心に確認されました。対策として定期的に土留めがされている箇所もありますが継続したメンテナンスが求められます。
急登区間は利用者の皆さんも登るときは強く地面を蹴り上げ、下るときは転ばないようにしつつも無意識のうちに地面への負荷が大きくなりがちなところです。一人ひとりのインパクトは極めて小さくても、年間に多くの人が通ると路面が下がってきて水の通り道になります。
早月尾根は200mごとに道標が立っており、コース通りに進めているかの目安となるのですが、結構頑張って登っても「まだ200mかあ」となる場合もありますが、気を落とさず頑張って登ってください!
シーズンのはじめというのもあり倒木が登山道をふさいでいました。こういった倒木は登山道整備の委託を受けている方が危険木の撤去作業を実施頂くことが多いです。
標高が高い場所までチェーンソー等の資材を持って上がらないと除去もできないので考えるだけでもこの樹林帯も維持が大変だと感じます。
早月小屋の手前では鉄製のハシゴも出てきます。
さらに鎖場が出てきます。
2200mまで上がってきたらこの登山道区間に唯一ある早月小屋に到着です。
この日は天気が良かったので振り返ると富山平野と日本海、剱の山域の山々を見渡すことができました。
標高では1400mほど上がってきたので3分の2はきたことになりますが、剱岳早月尾根の核心はこれからですので、気を引き締めて進んでいきます。
早月小屋から剱岳山頂までの登山道状況
早月小屋から剱岳山頂までは今年踏査できなかったため、昨年(2023年)の記録もとにお伝えします。
まず樹林帯を抜け森林限界を迎え、岩稜の道に変化していきます。利用者の転落防止のために鎖場が定期的に現れます。当然ながら鎖場などの危険箇所での整備(工事)は専門業者が設置を行っています。鎖やロープなどは安心感がありますが、完全に身を委ねるのではなくあくまでも補助であるという意識を持って使用しましょう。
高度感も高くなり、岩場と鎖場が続きますので慎重に進みます。
昨年(2023年)に登山道として使用していた区間の一部の岩盤が崩落した箇所があり、通行する際に道幅が狭くなっている箇所が出てきます。
場合によっては今後道の部分的な付替え等も検討が進められており、現在は補助としてロープが設置されています。通行の際には注意してください。
剱沢方面への繋がる別山尾根と早月尾根の分岐合流点まできました。看板は設置されていますが、劣化が激しく、文字も手書きで追記をしている看板です。
山頂に到着です。標高差2200mの長い道のりを登ってきたご褒美としてこの日は山頂から素晴らしい眺望を見れました。
登り終わって山頂を堪能したら下山が待っています。下山時の方がケガや事故のリスクが高いのでより一層気を引き締めて下山するようにしましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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