【開催案内】北アルプストレイルプログラムあり方検討会 シンポジウム(in富山) 持続可能な登山道の維持について考える
北アルプス富山県側登山道等維持連絡協議会は、黒部市宇奈月にて令和7年2月15、16日の2日間で北アルプス富山県エリアにおける持続可能な登山道維持に向けた検討を行うため、公開シンポジウムを開催します(参加費無料)。
北アルプスの山が好きで普段から利用される登山者、他の地域で登山道整備を行う中で課題意識をお持ちの方・・・等、北アルプス(特に富山)の現状を知り、学ぶとともに、登山道に関して調査、研究、現場管理、計画と様々な有識者も登壇される機会ですので是非ご参加ください!
※事前申込み制となります(下記リンクより申込みください)。
https://service.seedplanning.co.jp/event_manager/forms/index/192
一般参加可 会場先着400名程 入場料は無料(途中入退室可)
両日ともに9:45開始 16:45終了予定
WEBでの傍聴は前半の事例発表のみとなります
日本を代表する傑出した山岳景観が残る北アルプスは国立公園に指定されており、富山県エリアでは、立山室堂や黒部峡谷等の観光地を拠点として、立山、剱岳、薬師岳等の名峰の山岳登山利用がなされており、黒部峡谷や溶岩台地が織り成す多様な自然環境と景色の変化を求めて多くの登山者を魅了する場所となっています。
今回のシンポジウムは、北アルプス登山の際に誰もが利用する「登山道」に焦点を当て、持続可能な維持に向けたあり方について、地域の現状を知り、現場において必要な対策について学び、考え、これからに向けた将来像を検討していく企画です。
〇本シンポジウムの主な内容
この企画は、今年度から地域関係者と取組を進めている「北アルプストレイルプログラム」の一環として、「富山県側の登山道維持に関する現状を山に関わる多くの人に知ってもらうこと」、そして「中長期的に北アルプスの登山道を持続的に利用できるように検討を行うこと」を目的として開催します。
1日目:「登山道維持の取組の現状を知る・考える」
前半は5名の地域関係者が登壇し、異なるフィールドや条件下で取組まれている登山道維持の活動について事例紹介し、過去の経緯や現状の取組と課題意識等について知る機会となります。山小屋が行う登山道維持活動、山小屋が登山者を巻き込んで進める新しい登山道維持の取組事例、民間ガイドや民間団体が行う登山道整備や現状把握の取組について発表予定です。
後半では検討会として、「登山道整備を行う人材の育成 その枠組み作り」について地域関係者と外部有識者(東京農業大 下嶋聖氏、株式会社YAMAP 大土 洋史氏、一般社団法人トレイルブレイズハイキング研究所 勝俣隆氏)が登壇し、現状を改善するための議論を行い、考えるきっかけとする予定です。
【1日目事例発表登壇者(予定)】
阿曽原温泉小屋 佐々木 泉氏
「黒部峡谷周辺を中心とした登山道整備の取組」
三俣山荘 石川 吉典氏
「山荘を拠点としたボランティアと連携する道直しによる登山道の復元」
雲ノ平山荘 伊藤 二朗氏
「雲ノ平における登山道と植生復元の取組」
一般社団法人立山ガイド協会 佐伯 高男氏
「立山ガイドによる登山道整備事業」
NPO法人富山県自然保護協会 大宮 徹氏
「奥黒部地域における土壌侵食の現状把握」
2日目:「持続可能な登山道維持に向けて将来像を考える」
登山道を持続的に維持するために、調査、計画、現地作業等・・・それぞれの段階で考えることは多く、ここでは中長期を見据えた目線で外部事例の発表、検討を行います。
前半の事例発表では、主に外部有識者を中心として北海道の大雪山国立公園をフィールドとして調査、研究、現場の保全管理を行う方々に加え、海外のトレイル管理に知見がある計5名が登壇し、他地域での取組事例を紹介し、調査・情報整理・計画作り・保全管理といった側面から持続可能な登山道の維持に向けた考えを学ぶ機会とします。
午後の検討会では、上記5名に加え、一部地域関係者と北アルプスの広域な登山道の維持に向けて今後どのような対策を進めていくべきかについて、中長期的な計画作りも視野に入れた議論を行う予定です。
【2日目事例発表登壇者(予定)】
北海道大学 渡辺悌二氏
「山岳公園における土壌浸食の調査・モニタリング事例の紹介」
東京農業大 下嶋聖氏
「地理情報システムとリモートセンサリング技術を活用した景観、自然環境の解析」
国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所 八巻 一成氏
「地域性国立公園管理における計画作り ゾーニング手法の導入検討」
一般社団法人大雪山山守隊 岡崎 哲三氏
「大雪山国立公園における登山道保全管理の実態と課題」
一般社団法人トレイルブレイズハイキング研究所 勝俣隆氏
「米国におけるトレイル管理体制の事例と日米比較」
〇何故、登山道に焦点を当てるのか?
全国的に登山利用がなされる山岳エリアでは、登山道の荒廃が近年問題として取り上げられていますが、北アルプスにおいても同様に様々な課題に向き合うべきタイミングとなっています。
登山をする際に、ふと草刈りや雪切り等の登山道維持を行う人に出会うことがあるかと思います。北アルプスでは日常的な登山道の維持は周囲を経営する山小屋が行政等から委託を受け、実施しているところが大半を占めます。
それだけではなく、奥地でも長い距離に渡って整備されている木道や鎖、階段等は行政が工事として発注して設置されるものが多く、自然環境の保護や利用面での安全確保等を目的に整備しているものもあります。
普段登山をしていると目の前の美しい山の景色に圧倒され、近くに咲く高山植物を愛でるような中、誰もが通過している足元の登山道には荒廃した道や木道が腐っていて危険な道、逆に疲れた際に歩きやすい道と様々あるかと思います。こうした際にふと「この道は誰が維持しているのか」と考えたことがある人もいるかと思います。
北アルプスのうち富山県側では、約300kmの登山道が国立公園内で一般ルートとして指定されています。3000mの稜線帯や高層湿原、急登の樹林帯等・・・多様な種類かつ長距離にわたる登山道を持続的に維持していく中で様々な課題が出てきています。
目先で困っている登山道整備を行う人材や予算の不足の話は全国でもよく出ている話かと思います。北アルプスにおいては以下のような特徴があります。
・山小屋が実質維持を担ってきたがコロナ以降の経営環境の変化で人材が不足している
・予算がたくさんあった平成初期に整備した木道等の施設が荒廃し、更新を待つ状態
・新たに整備した登山道を定期的にメンテナンスしていく仕組みが必要
また、これらの課題に対して今後具体的にどういった対策を行うのかの方向性を示す計画作りが特に重要です。
・そもそもどういった計画に基づいて新たな整備や維持がどの程度必要なのか
・現状の適切な把握に加え、どのように関係者間で課題解決のための目標を設定するのか
・既存の仕組みを見直し、どのような枠組みで調査、計画、整備を持続的に回していくのか
北アルプスもまさに今、山岳登山の環境を後世に残していくために基盤となる登山道を持続的に維持できる仕組みづくり、体制づくりを行う時期にあります。
今回の企画への参加は、普段から北アルプスへ登山に行く北アが好きな利用者の方から、他地域で同様の登山道維持の課題に取り組まれており、山岳登山道の持続的な維持について関心がある方、学びたい方にとって、実りのある2日間となるかと思います。
会場、WEB参加ともに事前申し込み制となりますので皆様のご参加心よりお待ちしております!
【申込みはこちらよりお願いします】
※事前申込み制となります(下記リンクより申込みください)。
https://service.seedplanning.co.jp/event_manager/forms/index/192
一般参加可 会場先着400名程 入場料は無料(途中入退室可)
WEBでの傍聴は前半の事例発表のみとなります
【会場情報(アクセス方法)】
黒部市芸術創造センターセレネ美術館(以下、URLより確認ください)
https://www.unazuki-selene.com/
(注)会場の無料駐車場には限りがありますので、満車の場合は周辺の有料コインパーキングのご利用をお願いいたします。